人の振る舞い。
太田胃酸の社長さんが、大白蓮華の中で、「使った椅子は必ず元に戻す、ごみが落ちていたら、すぐ拾う、来客の折は、必ず立って挨拶する、そういう当たり前のこと」、つまり「今の社会人に一番、欠如しているのは、このマナーだと思っています。」と述べておられる。
「利益だけを優先する企業には、それなりの業績や貢献があるのかもしれません。けれど、最も大切なのは、一人の人間としてどうか、ということです。全ての源は「人」です。この「人」が、社会のルールやマナーを守っているかどうかです。」
「なぜ、マナーにうるさいか。マナーをないがしろにするのは、心が乱れているからです。心の乱れは、生活の乱れ、人生の乱れ、ひいては日本全体の乱れにつながるからです。」
「これまで日本が、一人前の国になれたその原動力は、マナーのよさがあったからです。それを失うとどうなるか、今の若い人たちは、そのことを忘れないでほしいと思いますね。」と。
今の経済は不景気だといいますが、根本的には、これらの日本の“美意識”たるマナーを守っている人が減っているのではないでしょうか。挨拶しても無視したり、落ちてるゴミを拾わず知らんぷりしたり人がいじめられても傍観したり、そういうことが会社でも地域でも学校でも蔓延している。
不景気とは、根本たる人間生命の善性への蔑視の振舞いに端的に表れているのではないでしょうか。景気対策だけに眼を向けるのではなく、“マナー”対策を、しかし、マナーが目的ではなく、人間生命の尊厳性に目覚める宗教的精神の啓発が大事ではないかと私は、思うのです。
日本の社会全体がそのことに気づくとき、きっと不景気も改善されていくはずなのです。まず入口として、孔子の論語や、福沢諭吉先生の“学問のすすめ”などを教材に様々な組織で東洋思想の勉強会をしていくことが大切ではないかと思います。