降りていく生き方
つねに目標を掲げ、課題を与えられて、それに到達しようと努力する企業社会の論理。
そして課題を達成したときにほめられ評価される学校的な価値観は、社会全体にまで浸透し、家庭や家族は、そうした学校教育の下請け機関になってしまった。
降りていく生き方とは逆に、つねに上昇していくのが人間として当たり前の生き方であるとされ、日本社会は、その価値観によって高度経済成長を達成したといってよい。
そうした生き方や発想について私たちは、なんの疑問ももたず、当然と受けとめてきた。
しかし、だからといって、しあわせであり、満足した生活をしているだろうか。
一人ひとりの人間は、競争させられ、管理され、歯車の一部になることで人間性を削ぎ落とされ、その結果、生きづらさを感じているのが現実ではないだろうか。
(『降りていく生き方』p67)
多くの人に読んで頂きたい一節である。